ご相談者の声
夫の人としての尊厳を証明できればと労災を申請しました。~山田 亜紀様(九州在住)~
ご主人を過労による自殺(自死)で亡くされた奥様からのメッセージです。
波多野弁護士ほか数名の弁護士が取り組み、労災の認定を得ることができました。
民事賠償は訴訟となりました(いわゆる「山田製作所事件」)が、最高裁まで争った結果、勝訴(確定)して解決しています。
お手紙の内容
波多野先生の人柄の温かさと熱意に報われました。
私は夫を過労自殺(自死)で亡くし、その後先生とお会いしたわけですが、先生は事件に関する資料や関係者からの聴き取りを通じて、夫の「人となり」を、まるで見知っているかのように、細やかに洞察しておられ、会社が「弱者」とみなした夫を、「ギリギリまで黙って耐えた強い人」と言って下さいました。
たたかう気力の足りない私に、気力を分けて下さいました。
労災認定までに2年かかりました。
警察でも労基署でも軽くあしらわれ、最初は「一緒に申請しましょう」と言っていた会社との話し合いも「申請の理由」の記載内容で意見が食い違うため、申請に必要な会社の印鑑がもらえず、申請すらできませんでした。
弁護士さんに依頼しなければ、2年どころか一生認定を得られなかったと確信しています。
労災認定は、その後会社に補償を求めた裁判で大いなる武器となりました。
会社に尽くした結果、いのちをすり減らして過労死をしてしまった夫の、いのちを取り戻すことはもう叶わないので、せめて、人としての尊厳を証明できればと労災を申請しました。
一人でたたかうにはあまりに重荷ですが、弁護士さんは、実際的にも精神的にも大変力を与えてくださいます。とても心強い味方です。
私と似たような境遇の方たちを先生方は多く知っておられるようで、上手に接して下さるので、安心感がありました。
労災申請や裁判中に私が感じる怒りや喜びを、まるで自分のことのように共有して下さって、本当に感謝しています。
波多野弁護士のコメント
バイク部品製造の塗装ラインで働くリーダ(班)で、リーダーに昇進した直後に、納入先の品質基準が変わったことによって、従前の良品が不良品扱いとなり、慣れないリーダー業務をしながら、その不良品対策にも追われ、月間100時間を優に越える時間外労働などによって追いつめられ、うつ病を発症し自殺(自死)に追い込まれた事案です。
労災認定後に会社との民事賠償交渉は決裂し、最高裁まで争われました(最高裁が上告を棄却して勝訴確定)。
この事件の熊本地裁判決(平成19年1月22日)及び福岡高裁判決(平成19年10月25日)は先例的価値が高いと我々は考えています。
ご依頼者である山田亜紀さんは、ご主人のような悲劇が繰り返されてはならないという強い決意を持っておられるのがひしひしと感じられました。
事実を拾い集めていく過程で、ご主人と山田亜紀さんの真面目で人柄の良さが続々と明らかになっていきました。
この件は、依頼者の方は九州で、受任した弁護士は大阪でしたが、地理的なハンデはほとんどありませんでした。遠方の事件を本格的に受任した初めての事案でしたが、事件進行にあたって地理的なハンデはないと確信を持ちました。