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関連ニュースのご紹介
新日鉄君津製鉄所の元従業員労災認定
新日鉄君津製鉄所(千葉県君津市)の元従業員の男性(60)=埼玉県入間市=が、アスベスト(石綿)を扱う業務に10年以上携わり肺がんを発症したのに労災認定しなかったのは不当として、木更津労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、請求を認めた。判決によると、男性は10年以上従事していたことなどから、業務と肺がん発症との因果関係を認めました。
"和民"社員自殺 労災と認定
http://www.nhk.or.jp/shutoken/lnews/1003166661.html
4年前、大手居酒屋チェーン「和民」で働いていた26歳の女性社員が、入社から2か月後に自殺したことについて、神奈川労働局は、残業が月に100時間を超えるなど過労が原因だったとして、女性の死亡を労災と認定しました。
労災と認定されたのは、大手居酒屋チェーン「和民」で働いていた森美菜さん (当時26)です。
遺族の代理人によりますと、森さんは平成20年4月に「ワタミフードサービ ス」に入社し、神奈川県横須賀市内の店に配属されましたが、入社2か月後に自殺しました。
遺族は「長時間の深夜勤務や、残業が続いたことが原因だった」などとして労災の認定を申請しましたが、平成21年に横須賀労働基準監督署は仕事が原因とは認めず、遺族が神奈川労働局に審査を求めていました。
これについて神奈川労働局の審査官は、「残業が1か月あたり100時間を超え、朝5時までの勤務が1週間続くなどしていた。
休日や休憩時間も十分に取れる状況ではなかったうえ、不慣れな調理業務の担当となり、強い心理的負担を受けたことが主な原因となった」として、今月14日付けで仕事の過労が原因による労災と認定しました。
森さんの両親によりますと、手帳に記された日記には亡くなるおよそ1か月前に「体が痛いです。体がつらいです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」と書かれていたということです。
母親の祐子さん(57)は、「一生懸命頑張ってると思っていました。なぜ、もっと早く、苦しんでいることに気づいてやれなかったのかと悔やんでも悔やみきれません」と話していました。
父親の森豪さん(63)は、「娘が自殺に追い込まれたのは、会社に責任があったと認めてくれたことに感謝したい。これをきっかけに従業員を大切にする会社に生まれ変わってほしい」と話していました。
一方、ワタミフードサービスは「決定の内容を把握していないので、コメントは差し控えたい」としています。
(古川弁護士の一言コメント)
外食産業の正社員の方が過重労働に従事しておられることは、多くの過労死・過労自殺(自死)の事件で明らかになっています。このニュースの事例でも、1か月100時間を超える時間外労働(残業)がなされており、昨年の年末に策定された精神障害にの労災認定基準からも、長時間労働と心理的負荷が正当に認められたケースだと思われます。
亡くなられた被災者の方の手記の「どうか助けてください。誰か助けてください」という言葉には、胸が詰まる思いがします。
<京都>過労死NO 法制定求め署名活動
http://webnews.asahi.co.jp/abc_1_001_20120121006.html
過労死や過労による自殺を防ぐための基本法の制定を求める署名活動が、全国各地で始まっています。
京都市でも、夫を過労死で失った女性らが街頭に立ち、過労死を防ぐための基本法の制定を求めて署名活動を行いました。2010年、過労やストレスが原因で脳や心臓の病気を患ったとして、労災認定されたのは285人、うち113人が死亡しています。過労死や過労による自殺者に、重い障害が残った人や自殺未遂者を加えると、年間数万人になるとみられています。夫を過労死で亡くした中島清美さんは、「(法律が)できればずいぶん国の政策もかわって、過労死防止につながると確信しています」と話します。遺族らは、労働基準法が現場で守られていないことを知りながら、国が放置していることが問題だとしています。100万人の署名を集めることを目標に活動を続け、3月上旬に国会に提出する予定です。
(古川弁護士の一言コメント)
1月20日(土)に行われた過労死防止基本法制定に向けた取り組みです。私も、京都の四条河原町でリーフレットを配り、上の記事で紹介されている中島さんの後にマイクを握って訴えを行いました。
本当に大切なのは、過労死や過労自殺が起きない働き方ができる社会です。私たちも、微力ながら力を尽くしたいと思います。
教諭の過労死を認定 公務員補償基金京都府支部
2009年11月に京都府亀岡市の自宅で倒れ、脳幹出血で死亡した京都市立御所南小の元教諭大西春美さん=当時(53)=について、地方公務員災害補償基金京都府支部は27日までに、過労が原因として「公務上の災害」と認定した。夫の修さん(55)が同日、京都市内で会見して明かした。
■御所南小、時間外勤務が常態化
認定によると、大西さんは09年4月から、2年の担任のほか同小独自の科目「読解科」科長などを兼務。若手への指導や公開授業の準備に追われ、時間外勤務が常態化した。退勤時の施錠記録などから、死亡前2カ月間の時間外勤務を月90~96時間と認めた。
修さんによると、死亡前の1週間は職場での残業だけでなく、仕事を自宅に持ち帰り午前3時ごろの就寝が続いた。
修さんは「学校に命を奪われたという思いだ。全国でも同じことが起きているのではないか」と話した。
京都市教育委員会は「認定を重く受け止め、超過勤務の縮減や健康保持により一層意を尽くしたい」としている。
基金本部(東京都)によると、公立小中学校教職員の脳疾患による死亡が公務災害と認定されたのは09年度までの5年間で3件。
(波多野弁護士の一言コメント)
民間労災に比べて地方公務員の救済率が異常に低い現状(労働実態と言うよりも基金の財政状態が原因と思われる)現状において、裁判を通じずに認められるのは珍しいと思います。ポイントはやはり客観的証拠、この場合でしたら施錠記録が決め手になったと思われます。学校の先生は持ち帰り仕事が多いので、それが決め手になって公務災害になる場合がありますが、本件の場合はそれが無くとも施錠記録からだけでも認められたと思われます。
部下に100万円以上おごらせる…熊本市が処分
熊本市は26日、直属の部下に対し、約2年5か月にわたって昼食を計100万円以上おごらせたり正座をさせたりするパワーハラスメント(職権による人権侵害)を続けたとして、同市農水商工局の男性係長(49)、男性技術参事(47)(係長級)の2人を停職6か月の懲戒処分にした。
発表によると、パワハラは2009年6月、採用直後の男性職員(20歳代)が公用車を運転した際に道を間違えたことをきっかけに始まった。男性職員が精神的苦痛を理由に病気療養で休職する今年11月7日頃まで、「お前の仕事の尻ぬぐいをしてやった」などと言ってほぼ毎日、昼食をおごらせたほか、職場の喫煙室で約30分~1時間、正座をさせて説教していた。最近は焼き肉、うなぎ、すしなどの高価な飲食店を2人が選んでいたという。
男性職員から相談を受けた家族が職場の上司に報告し発覚。2人は「教育のつもりだった」と釈明し、昼食代の返還を申し出ている。
(波多野弁護士の一言コメント)
ハラスメントであることは明らかだと思います。このようなハラスメントによって、部下の方が精神疾患に追い込まれていたとしたら、労災になることもほぼ明らかだと思います。
上司からのハラスメントは特に逃げ場がないので、負荷が高いと言えるでしょう。実務で一番問題なのは、このようなハラスメントの実態を立証できるかどうかに尽きると思います。
JR新潟社員のパワハラ労災認定
JR東日本新潟支社酒田運輸区に勤務していた男性=当時(51)=が自殺したのは上司によるパワーハラスメントが原因として男性の妻=新潟市西区=が請求していた労災申請について、国の労働保険審査会が労災を認めなかった庄内労働基準監督署(山形県)の決定を取り消す裁決をしたことが28日、分かった。
裁決は25日付。庄内労基署は「(労災保険法に基づく遺族年金などを)支給する方向で検討する」としている。 同審査会によると労災保険関係で逆転認定される件数は例年少ない。2010年度の裁決計649件のうち、当初処分の取り消しは約3%の22件だった。
(波多野弁護士の一言コメント)
パワーハラスメントの負荷については行政段階においても従前より認めようという動きになっています。私もその行政の流れになってから、きっちりハラスメントの立証ができたケースでは以前より認められやすくなったと実感しています。
また、労働保険審査会の救済率はわずか3%で狭き門であることは事実ですが、行政基準に照らしてもぎりぎりと思われる事案ではもっと確率が高いので、諦めないことが重要です。全く認められる余地もない再審査請求も相当数含まれているので、実質的な救済率はもっと高いと思った方がいいと思います。
製薬会社員の突然死「過労原因」 東京地裁、労災認める
製薬会社アベンティスファーマ(現サノフィ・アベンティス、本社・東京)で開発の仕事をしていた男性(当時39)の突然死をめぐる訴訟で、東京地裁(古久保正人 裁判長)は10日、過労が原因だとした遺族の主張を認める判決を言い渡した。
労災と認めず、遺族補償を支給しないとした三田労働基準監督署の決定を取り消した。 糖尿病治療薬の開発チームで管理職として働いていた男性は2001年、東京都杉並区の自宅で急死した。 男性の母親は06年に労災を申請したが認められず09年に提訴した。
判決は、男性がプロジェクトの責任者として昼夜を問わず打ち合わせに追われ、 平日の帰宅後や休日も仕事をする日が多かったと指摘。死亡直前は1日14時間以上も働いており、 「元々患っていた軽い冠状動脈の病気が急に悪化し、心臓性突然死に至った」と結論づけた。
(古川弁護士の一言コメント)
心臓や脳に基礎疾病があっても、長時間労働など業務の過重性が認められる場合は、
労災上の業務起因性(因果関係)が認められるケースがあります。
このケースは、そういったケースに該当するでしょう。そういう意味では、基礎疾患があったとしてもあきらめず、
一度は当相談室にご相談されることをお勧めします。
故井上ひさし氏秘書 労災認定
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111027/t10013558491000.html
劇作家で小説家の故井上ひさしさんの秘書を務めていた男性が、去年、自殺し、労働基準監督署は、月100時間を超える残業などによる過労が原因だったとして、労災と認定しました。
労災と認定されたのは、井上ひさしさんが主宰する劇団の運営会社の社員として、井上さんの秘書などを30年余りに渡って務めていた渡邊昭夫さん(当時59歳)です。遺族の代理人の弁護士によりますと、渡邊さんは去年6月に自殺しましたが、おととし、井上さんがみずからがんを患っていると公表したころから急激に仕事が増え、不眠にも悩まされていたということで、遺族が労働基準監督署に対し、労災の認定を求めていました。これに対し、労働基準監督署は、残業が月に100時間を超えていたことなどによる過労が自殺の原因だとして、先月、労災と認定しました。遺族の代理人の川人博弁護士は「文化芸術活動の業界では、労災の申請すらしていないケースが多いと思われる。今回の労災認定を業界は真摯(しんし)に受け止め、労働条件の改善に努力してほしい」と話しています。
井上ひさしさんの秘書を務めていた男性の労災が認定されたことについて、井上さんが旗揚げした劇団「こまつ座」の井上麻矢社長は「ご冥福をお祈り申し上げますとともに、労災保険給付が支給されることにより、ご遺族の生活の安定が図られ、安どしています」とするコメントを出しました。
(古川弁護士の一言コメント)
人気作家の秘書というと、作家の様々な活動の調整(場合によっては作家の私的な部分も含め)を行う必要があり、非常にストレスが大きいものと思われます。単にその作家に対する尊敬だけでお仕事をやっていけるわけではないでしょう。
業務内容が種々様々であったり、労働時間の立証が容易でない場合でも、労災が認められているケースがあります。あきらめずに、一度は当相談室にご相談いただければ幸いです。
労災:過労自殺の26歳、認定 半月の時間外70時間 立川労基署/東京
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20111028ddlk13040235000c.html
立川労働基準監督署が、昨年5月に自殺したNECの関連会社で電子機器製造会社「NECネットワーク・センサ」(府中市)の技術者の男性(当時26歳)について、自殺は過重労働が原因だったとして今月13日付で労災認定していたことが分かった。遺族の代理人の尾林芳匡弁護士が27日、明らかにした。
尾林弁護士によると、男性は08年に入社。09年10月から電波監視システムの開発業務に携わったが、納期までに完成が間に合わず時間外労働が続いた。10年5月中旬には「ノルマが達成できなかった」という心理的負荷から気分障害を発症、同17日に自殺した。
男性の時間外労働は3月には約47時間、4月は約71時間だったが、死亡した5月は半月だけで約70時間に及んだ。尾林弁護士は労基署の認定について「半月という短期間の長時間労働を労災と認めたことは意義がある」としている。男性の父親(60)は「息子の死は仕事が原因だったと認めてもらい、息子の名誉を守れたと少し気持ちが楽になりました」とコメントした。【町田結子】
(古川弁護士の一言コメント)
ご病気になる(精神障害を発症する)直前の労働時間が非常に大きい場合には、
被災者の方の心理的負担が大きいものとして労災認定がなされやすくなります。
できごとそれ自体が特に深刻でなくても、労働時間が大きい場合には、被災者の方への負荷がより強くなるということで、心理的負荷のレベルが修正されるなどして労災認定がなされるケースがありますので、あきらめずに一度は当相談室にご相談下
さい。
(波多野弁護士の一言コメント)
平成24年2月23日、東京地裁で石綿(アスベスト)に由来する肺がんの労災の初めての先例的な被災者側勝訴判決がおりました。報道もされました。
一見地味かもしれませんが、私も弁護団の一員として肺がんアスベストの事件を神戸地裁で4件係争中のものに関与していますが、厚生労働省の肺がんの認定基準が医学的にも国際基準にも反するため、救済の範囲が異様に狭いため救済されるべき被災者の方や遺族の方が暗数として相当いると見込まれます。
今回の東京地裁の判決は、被災者側・遺族側が求め続けていた主張が通ったものであり、厚生労働省の認定基準に関する通達(07年)について合理性に疑問があり、救済範囲を狭めるもの」「石綿小体の本数規定は本来は、従事歴10年未満の人を認定するための救済規定で、既に従事10年以上の労働者に要求するのは、救済規定の趣旨に反する」等として処分を取り消したものでした。
医学的知見や国際基準からすれ...ば当然の判決ですが、そこが簡単にいかないのが、国を相手にする行政訴訟なので、インパクトがある判決だと思います。 過労死や過労自殺の労災においても、アスベストの事件においても、司法による判断の積み重ねによって、行政基準がよりましに、よりよく変わっていく契機になるので、少しでもその現場に関与できることは弁護士(きっと裁判官も同じだと思います)にとって、非常にやり甲斐がありかつうれしいことだと思います。
東京地裁の判決を獲得された弁護士はこの困難事件をたったひとりでやりとげたのもまた驚きです。過労自殺の画期的な電通最高裁判決を獲得したのが故藤本正弁護士ただひとりと同じようにただただ驚くとともに賞賛の言葉しかありません。
神戸地裁の判決も近づいていますが、東京地裁の勝訴判決に続きたいと思っています。